わかもとのエンボスの謎 NAGAに迫る
わかもとの瓶底エンボス
わかもとは前にも書いたが海や炭鉱などでたくさん入手してきた。
底のエンボスは3段に分かれ上段は数字、中断はNAGA、下段は数字の「9」一文字、それか数字の「9」一文字とその9の左右横に数字があるタイプになっている。
NAGAと下段の9が共通である。
NAGAの意味は恐らく創業者長尾欽弥の長尾からNAGAとしているのではないかと思う。通常は工場別記号であることが多いが、現在のデータベースではNAGAはヒットしない。
上段の文字は1から21までのものを所有している。
公式ページでは昭和11年に陶器製のコルク栓瓶になっているが、ガラス瓶と並行して陶器瓶も採用されていたのではないだろうか。
ガラス原料の珪砂も戦前は輸入に依存していたが、国際関係が悪化するとともに輸入が停止。国産原料に切り替わっていった。
日本が国際連盟を脱退して、国民総動員法が施行され原料の輸入が困難になった昭和13年~14年以降ガラスの回収や再利用が推奨されるようになる。
一般的に昔のものほど粗悪であるイメージがあるがそうではない。この時期のものが粗悪であり、これより前のものはそれなりに品質が良いのである。開戦の2年ほど前から戦後直後のものは軍用品の一部以外は粗悪である。この時期のガラス瓶では気泡やエンボスのズレ、透明度の違い。成型の悪さによる小さな穴や突起が発生しているものが多々ある。
原料に異物が混入すれば茶筋が発生し、作り手を含めて生産体制が整わない場合は気泡が入る。
不純物が多いとウランガラスのように発光が見られる。(ウランガラスほどのはっきりした発光ではない。)
わかもとの茶色瓶においては色の違いやエンボスのズレが見られる。右下左から2個目はエンボスがかなりズレている。左上が上段1のもの右下は上段21のもの。
極端に薄いものやアクア色のもの、珪砂に鉄分が多いとガラスは青くなる。
透明にするためには原料に転嫁して透明にするためコストがかかる。
わかもと瓶の底のエンボスが年月を表しているのかとも思っていたが昭和4年(1929年)4月から販売していることを考えるとロットナンバーのようなものが上段なのかな。なにか手がかりがあれば。